2025年12月10日水曜日

My Gift to You

ちょっと早いですが、今年のクリスマスプレゼントが届きました。

サンタさんの正体は、函館のミニシアター「シネマアイリス」のオーナー・菅原さんです。

なぜ映画館のオーナーが?と思われるかもしれませんが、僕はこのシネマアイリスでボランティア兼アルバイトをしています。
シネコンと呼ばれる大きな映画館とは違って、監督さんがインタビューに来てくださったり、地域の映画好きの方と話ができたりする、「ここでしか作れないコミュニティ」を持った映画館です。

週末はシネマアイリスでお手伝いをすることが多いのですが、そのときによく流れているのがラジオです。
中でも菅原さんと一緒によく聴くのが、AIR-G’で放送されている「山下達郎のサンデーソングブック」(TOKYO FM制作)。

日曜日の14時から1時間、幼い頃から聴き続けてきた番組で、大学に来てからは「シネマアイリスで聴く」のがすっかり週課になりました。僕も菅原さんも、大の達郎ファンです。

そんな達郎さんのコンサートが、今月1日に札幌でありました。
僕は予定が合わず行けなかったのですが、菅原さんが聴いてきたとのこと。後日、ライブの様子をいろいろ聞かせてもらいました。
今年は、バンド「SUGAR BABE」から数えたメジャーデビュー50周年の年。ツアーにもいつも以上に力が入っていて、その分、ファンの熱もすごかったそうです。

その札幌公演のお土産として、菅原さんがプレゼントしてくれたのが「カセットキーホルダー」でした。
ネットで見かけて「いいな」と思いつつ、手に入れるのは難しそうだな…と諦めていたグッズだったので、もらった瞬間かなりテンションが上がりました。これから大切に、大切に使おうと思います。


というわけで、今日の一曲は山下達郎「My Gift To You」。
1993年発売のクリスマス・オーケストラ・コンセプトアルバム『SEASON'S GREETINGS』に収録された、Alexander O'Nealのカバー曲です。
このアルバムのリマスター版が先月リリースされたばかりで、今日10日には、皆さんご存じ「クリスマス・イブ」のシングル盤リリースのボーナストラックとして、この曲のライブバージョンも収録されるそうです。

菅原さんから届いた「ギフト」と一緒に、この曲も、今年のクリスマスの贈り物として、みなさんに届けばうれしいです。



2025年12月6日土曜日

結局、僕の耳は何歳なんだ問題

前回、「今年いちばんの発見はEPOだった」という記事を書きましたが、その後、Apple Musicをはじめ各サブスクで、今年一年の“音楽まとめ”が続々と出ていますね。

僕はSpotifyユーザーなので、毎年「まとめ」が出るのをかなり楽しみにしています。


再生時間やトップソング、よく聴いたアーティストが並ぶのは例年通りなのですが、今年は新しく「あなたのリスニング年齢」という項目が追加されていました。

結果はなんと──68歳





自分でも「同世代よりちょっと古めの音楽を聴きがちだろうな」とは思っていましたが、数字として突きつけられると、さすがに軽くショックです。

とはいえ、今の音楽をまったく聴いていないわけでもないはず…。


そこで今回は、2025年に出会った音楽の中から、特に印象に残った5曲をまとめてみることにしました。


①『Like This Before』/Roomies

2025年が始まって、最初に「これは…!」と引っかかったのがRoomiesでした。

きっかけは、ラジオ局J-WAVEの新譜レコメンド企画「SONAR TRAX」で流れていた、1月のピックアップ曲のひとつ。




英語詞で、ソウル寄りのダンスミュージック。最初は完全に海外バンドだと思って聴いていたのですが、調べてみるとまさかの日本のバンド。

マイケル・ジャクソンを思わせる伸びやかな歌声と、タイトなビートがとにかく気持ちいいです。


1月にリリースされたアルバム『ECHO』も、通して聴いてハズレなしの出来。

まずは『Like This Before』から入って、気に入ったらアルバムごと聴いてもらいたい一枚です。


②『SEASON』/BLACK BERRY TIMES

BLACK BERRY TIMESは、作詞・作曲を担う柳沢碧人(vo,key)と、編曲・ミックスを担う荻原蓮(g)という、現役大学生2人を中心にしたユニットです。


ふたりともジャズをはじめ、いろんな音楽にとても精通していて、ラジオのジャズコーナーをひと月任されていたこともあるほど。

そのおかげで、彼らの音楽だけでなく、ルーツとなる音楽にも触れられて、今年の僕のリスニングの幅をぐっと広げてくれた存在でした。


『SEASON』は、ストリングスアレンジにこだわって作られた1曲。



同じく彼らの『Sugar』『Why』はブラスアレンジがかっこよく、ソウルやファンクの要素が前面に出ています。



ミュージックビデオだけでなく、ショート動画でセッションの様子も見ることができるので、演奏している姿まで含めてチェックしてほしいアーティストです。

↓「BLACK BERRY TIMES」のinstagramサイト
https://www.instagram.com/blackberrytimes?igsh=Z3pxN3JlZjJ5ZWJ4


③『Silent Movie』/Strutman Lane

ここで洋楽枠。

ラジオか何かでたまたま耳にして、「この曲、いつごろの音源なんだろう?」と思って調べてみたら、シングルリリースは去年(アルバムは今年発売なのでギリギリ2025年ということで)だった、というのがこの『Silent Movie』でした。

ブラスロックバンド・Chicagoを思わせるサウンドもありつつ、00年代のポップスのような空気感もある。

親しみやすいメロディなのに、ファンクっぽいビートも効いていて、イントロのアコースティックギターも耳に残ります。


1曲の中で展開がどんどん変わっていくので、「ずっと同じフレーズが流れている」タイプの曲とは違い、ストーリーを追うような感覚で最後まで聴ける一曲。

日本ではまだそれほど名前が知られていないようで情報も多くありませんが、これからも追いかけていきたいバンドです。


④『さいなら』/眞名子新

今年の夏、キリン「氷結」のCMで耳にして覚えている人もいるかもしれません。

アーティスト名は「まなこ あらた」と読みます。

僕はCMより先に曲を聴いたのですが、ギターが前に出て一気に駆け抜けていく感じにやられて、一瞬でお気に入りになりました。

そのあとでCMタイアップが決まったと知って、「やっぱりこれは来るよな」と勝手にうれしくなったのを覚えています。


おそらく、これから毎年、夏の始まりに聴き返したくなるような一曲になると思っています。


⑤『鍋でもやろう』/ザ・おめでたズ、思い出野郎Aチーム

最後は先月リリースされたコラボ曲。

記念日や祝日をテーマに“日常を祝う”ラップグループ「ザ・おめでたズ」と、多摩美術大学で結成されたソウルバンド「思い出野郎Aチーム」によるシングルです。


「思い出野郎Aチーム」は、今年の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』で、小泉今日子さんと中井貴一さんが歌った『ダンスに間に合う』を手がけたバンドでもあるので、その曲で耳にした人も多いはず。




この『鍋でもやろう』がリリースされた11月7日は、「鍋の日」だそうです。

曲自体もまさに“鍋”のようで、「思い出野郎Aチーム」のソウルフルなグルーヴのうえに、「ザ・おめでたズ」の言葉が具材みたいに乗っかって、それぞれの個性がありつつもしっかり調和しています。

♪レコードとビールを持って~というフレーズが耳に残りますね。

聴いていると、友だちや家族と鍋を囲みたくなる、あたたかい一曲です。



結局、僕の耳は何歳なんだ問題

こうやって書き出してみると、「2025年に出会った曲」ではあるものの、そのルーツをたどるとジャズやソウル、AOR的な場所に落ち着いているものが多いな、と思います。

Spotifyに「リスニング年齢68歳」と判定されても、たしかにそれはそれで納得かもしれません。


いまはPC一台あれば、自宅で完結する打ち込みベースの音楽もたくさん作れる時代ですが、改めて並べてみると、人と人とが同じ空間で演奏している“セッション感のある音楽”にどうしても惹かれているようです。


だから最近の曲でも、アコースティックバージョンやDEMO音源、スタジオセッション映像が公開されていると、そっちのほうを何度もリピートしてしまう。

リスニング年齢がいくつと表示されようと、こういう「人が演奏している気配のする音楽」を追いかけていくのが、自分らしい聴き方なんだろうな、と改めて感じた一年でした。

千葉

2025年12月1日月曜日

12月のエイプリル・フール

今年も残り1か月になりました。
僕には毎年この時期になると、その年に聴いた音楽を振り返る習慣があります。
新譜に加えて、リマスター盤の再発売などでたくさんの音楽に触れた今年、僕の中でいちばん大きな発見だったのが、アーティスト「EPO(エポ)」でした。

EPOは、1980年代を中心に活動してきた日本のシンガーソングライターです。
そんなEPOさんを改めて聴き直すきっかけになったのが、シンガーソングライター・大橋トリオのラジオでオンエアされた「ある朝、風に吹かれて」でした。大橋トリオがおもしろいと思う日本のポップス=「JP(昔から今までの日本のポップスの総称)」特集の1曲目で、最初に耳にしたときは、どこかフォークデュオ「ゆず」のような、洗練されたアコースティック・サウンドだな、というのが第一印象でした。



改めてフルで聴いてみると、EPO本来の透明感のある声や、おしゃれなコード進行に加えて、バンドのグルーヴが一体になったライブ感のあるセッション、どこかエスニックな香りのする音作りが印象的でした。
それまで僕がイメージしていたEPO像を、いい意味で壊してくれた1曲でした。

EPOと言えば、多くの人が思い出すのは、フジテレビ系『オレたちひょうきん族』のエンディングテーマ「DOWN TOWN」や、「土曜の夜はパラダイス」、資生堂のコマーシャルソングとして大ヒットした「う、ふ、ふ、ふ、」かもしれません。
最近では、「う、ふ、ふ、ふ、」が日本マクドナルド春の『てりたま』のCMソングとして使われていて、曲名を知らなくても耳にしたことがある人は多いと思います。


「う、ふ、ふ、ふ、」のシングル盤を見つけたので即決。B面の「無言のジェラシー」はアルバムとは違うテイクだということを初めて知りました!


僕自身も、小さい頃から「う、ふ、ふ、ふ、」が収録されたアルバム『VITAMIN E・P・O』が好きでよく聴いていましたし、ラジオ番組風に構成されたコンセプト・アルバム『JOEPO〜1981KHz』は、一番聴いた1枚です。
ただ、その頃の僕は、ポップさやメロディーのキャッチーさばかりを追いかけていて、EPOの後期の、より内省的なアルバムにはほとんど触れていませんでした。

ラジオだけでなく、今年は別のところからもEPOを猛烈に推す声に出会いました。
それが、函館の「BAR METEO RECORDS」の店主さんです。たくさんのレコードが並び、ふだんはソウルやR&Bの洋楽がかかっている、おしゃれな隠れ家的なバーです。お客さんに合わせて山下達郎や竹内まりやのレコードをかけることはあっても、本当は洋楽を流していたいタイプのお店だそうです。

その店主さんが、唯一と言っていいほど強く推していた日本のアーティストがEPOでした。なかでもシングル「白い街 青い影」はかなりのお気に入りのようで、「これは洋楽に匹敵するよ」といつも紹介しながら、嬉しそうにかけてくれます。



この曲をきっかけに、洗練されたポップさだけでなく、セッションの妙やアレンジの細やかさ、一瞬の出来事をショートムービーのように描き出す歌詞の世界に、僕は改めて気づかされました(歌詞でいちばんのおすすめは「雨のめぐり逢い」という曲です)。
それをちゃんと知りたくて、ほぼすべてのアルバムとシングルを聴き直していく中で、「DOWN TOWNラプソディー」という曲のテレビ映像に行き当たりました。

このパフォーマンスがまた強烈です。コーラス・デュオは、「め組のひと」で有名な「Martin」こと鈴木雅之。バックの演奏は、名バンド・センチメンタル・シティ・ロマンスです。生歌唱・生演奏で、ここまでR&Bのノリとポップスの楽しさを両立させているセッションは、なかなかないのではないでしょうか。最後のスキャットの掛け合いは、何度見ても鳥肌ものです。



作品を掘り直していく中で、初めて知ったこともありました。
それは、これだけたくさんの良質なサウンドを残しながらも、EPO自身は「毎回ヒット曲を書かなければいけない」というプレッシャーに長く苦しんでいた、という事実です。先ほど触れたパフォーマンスの後、EPOは渡英し、ヒットチャートを狙う路線とは少し距離を置きながら、「音とは何か」「生きるとは何か」といった、より哲学的な問いを音楽で表現していくようになります。ヒットを狙った路線ではないけれど、アーティストとして本当に伝えたいことが、むしろはっきりしてきた時期のようにも感じます。

EPOを聴き直すプロセスは、同時に、僕自身の音楽の聴き方を見直すきっかけにもなりました。どのアーティストについても、ヒット曲という“上澄み”だけを聞いて終わりにするのではなく、アルバムを通して聴いて、背景や時代の空気を想像しながら、そのアーティストの思いを丁寧に感じ取ろうとしないとな、と考えるようになりました。

クリスマスの時期になると、ラジオでかかるEPOの「12月のエイプリル・フール」。
タイトルからして、ありそうでなかなか思いつかないおしゃれさがあります。後半の急激な転調は、今っぽくはないかもしれませんが、歌われているジェラシーや揺れる気持ちは、今でも十分に共感できるものだと思います。


みなさんの、2025年をかたどる音楽はなんですか?


千葉

2025年10月31日金曜日

星の海

先週末、初めて室蘭市に降り立ちました。

目的は、南佳孝さんに続いて——吉田美奈子さんと森俊之さん(Pf.)によるデュオコンサートを聴くためです。


「次いで」と書いたのは、実は前回のブログで書いた南佳孝さんと、吉田美奈子さん、どちらも1973年9月21日デビュー。
ともにはっぴいえんど周辺の流れから登場したアーティストなのです。


おそらく、吉田美奈子さんの声は、きっと誰しも一度は耳にしたことがあるでしょう。
スタジオジブリ制作『魔女の宅急便』(監督:宮崎駿)のオープニング曲「ルージュの伝言」では、山下達郎さんや大貫妙子さんとともにコーラスを担当。
もともと演奏がいまひとつだったところを、彼女たちのコーラスが加わったことで、一気にアメリカン・ポップス調の完成度に達したという逸話もあるくらい。

彼女は、荒井由実や山下達郎の初期作品にも多数参加し、他アーティストへの楽曲提供も行う作曲家・シンガー・アレンジャーとして活躍してきました。

“ファンクの女王”と称されることもありますが、実際にはファンクだけでなく、シティ・ポップ、ゴスペル、ソウル、アコースティックといった幅広いジャンルを越境しながら音楽と向き合ってきた人です。

聴き進めるほど、「ジャンルではなく“音楽そのもの”として感じることの大切さ」を気づかせてくれます。

近年のシティ・ポップ・ブームでは、松原みき、山下達郎、竹内まりやなど、いわゆる“定番曲”ばかりが再注目されていますが、僕は、吉田美奈子さんのような音そのものと対話してきたアーティストの存在にも、もっと光が当たってほしいと思っています。


吉田美奈子さんのライブは、小学校2年生のときから何度も足を運んでいます。
そのたびに異なる編成で、新しい表現を聴かせてくれるのが魅力です。

ギターとベースのトリオ、ハモンドオルガンとドラムのトリオ、ピアノとのデュオ、ウッドベースとピアノのトリオ——
同じ曲でも、聴くたびにまったく違う曲のように響きます。


今回の会場は室蘭キリスト教会 グロリアチャペル。
ある方の追悼を、ということで、しっとりとしたナンバーを中心に、心に響くコンサートでした。




1曲目は「30秒の奇跡」という曲。
森俊之さんのピアノ・イントロが静かに響き渡り、そこから空気が変わる。
森さんのピアノを聴くのはこれで何度目かになりますが、僕が知る中で、最も“心に届く”ピアニストです。
音が空気を震わせ、その波が自分の体の内側で共鳴し、鼓動と一緒に響く感覚がします。

1曲目が終わるだけでも、多くの方が感動していました。


本当は、森俊之さんの最新アルバムに収録されている
「悲しみの停まる街」を紹介したかったのですが、残念ながら配信では聴けません。

代わりに、僕が一番好きな曲「星の海」をぜひ聴いてほしいです。
この曲はイラストレーターのペーター佐藤さんの追悼のために作られたもので、今回のコンサートのラストにも演奏されました。





P.S.
まわし者ではありませんが、ピアニスト・森俊之さんの最新アルバム『azurite』は必聴です。

https://azuritelab.com/



千葉

2025年10月20日月曜日

月に向って/Midnight Love Call -南佳孝 Soloisum 2025

先日、小雨の降る中、札幌市時計台2階で開かれた、南佳孝さんのソロライブに行ってきました。





南佳孝さんのギター


札幌の時計台の2階がコンサートホールになるなんて——そんな驚きと、「南佳孝の生演奏を次いつ見られるかわからない」という思いが重なり、衝動的にチケットを購入。
ちょうど先月、「最近、南佳孝のCDやレコードをお店で見かけないね」と家族で話していた矢先に見つけたライブ情報。
行かないわけにはいきませんでした。


南佳孝さんは、1973年9月21日、作詞家・松本隆プロデュースのアルバム『摩天楼のヒロイン』でデビュー。1979年発表の『モンロー・ウォーク』は、郷ひろみさんによって『セクシー・ユー(モンロー・ウォーク)』としてカバーされ大ヒット。そして1981年、片岡義男の短編小説を映画化した『スローなブギにしてくれ』の主題歌として書き下ろした『スローなブギにしてくれ(I want you)』が大ヒット。サウンドトラックも手掛けるなど、シンガーソングライターとして確固たる地位を築きました。


彼の音楽は「古い歌」と呼ぶにはもったいない。
時代の流行に流されず、ジャズ、ウエストコースト・ロック、サーフィン・サウンド、デジタル・ポップなど、アルバムごとに異なる世界観で一つの映画を見せてくれるような構成美があります。

それもそのはず——
作詞は松本隆、アレンジには坂本龍一が携わる楽曲も多く、日本のポップス史の中でも特別な存在感を放っています。


午後7時。時計台の鐘の音が鳴り響くと同時に、南佳孝さんが登場。
静かなチューニングから始まるその空間には、雨の音、救急車のサイレン、街の気配までもが混じり合い、まるで映画のワンシーンに迷い込んだような緊張感がありました。

初めて生で聴いて感じたのは、「一人で演奏しているように聞こえない」ということ。
ギター一本の演奏なのに、そこには確かなビートがあり、バスドラム、スネア、シンバルが呼吸しているかのように響いていました。
観客全員が同じリズムで揺れ、メロウなナンバーではまるでチークダンスを踊るように“ノッて”いたのが印象的でした。


「今年の夏は本当に暑いね」と南さん。
「いつもは秋の気配がする9月に歌う曲なんだけど、今日はやっと北海道が少し涼しくなったから」と披露されたのは、『月に向って』。
作詞はもちろん、松本隆。
やさしく包むギターの音と声に、夏の終わりの風が重なりました。




その後はピアノの弾き語りに変わり、再びギターに戻りながら、ファンに人気の曲や最新アルバムからのナンバー、そして杉真理のカバー『ウイスキーがお好きでしょう』などを披露。
会場が少しずつ温まり、窓が曇りはじめたころに流れたのが『Midnight Love Call』。
外の小雨の音がまるでSEのように、音楽に溶け込んでいました。


ライブの最後は、代表曲2曲で締めくくられ、その後のサイン会では、購入したCDに直筆のサインをいただきました。



今は配信で何でも聴ける時代ですが、アートワークを眺め、歌詞の世界に入り込み、ライナーノーツから作品を深掘りする——
そんな楽しみはCDやレコードだからこそ味わえるものだと、改めて感じました。

配信よりも現物のレコードで。
そして、レコードよりも生のライブで音楽に触れる——
そんな喜びを、久しぶりに強く実感した夜でした。

千葉


2025年9月28日日曜日

人生最後の夏休み🍉

こんにちは!お久しぶりです🙋

函館はずいぶん涼しく過ごしやすくなりました。そして、私の人生最後の夏休みも終わろうとしています。今回は、私の夏の思い出の1部を記録に残せたらなと思います。

◆ 1人東京旅

推しが主演する舞台に当選し、1人で東京へ観劇を目的とした旅行に行ってきました。ゆったりと、前から行きたかったショップで買い物をしたり、好きなものを食べたり…。1人でどこかに旅行に行くというのは初めてだったのですが、とても楽しかったです。

◆ 日帰り札幌旅

マラソンが趣味の父が、今年は北海道マラソンの沿道応援へ行くと言うことで、父の運転で妹と一緒に連れて行ってもらいました。父が応援している間に駅前へ移動し、妹とショッピングを楽しむことができました。朝早く(というか、深夜?)に家を出発したのですが、日が出始めた頃の空がとても綺麗でした。

他にも好きなことを好きなだけできた2ヶ月間で、やっぱり函館が1番落ち着くなあと思う私なのでした。

大学生活も残すところは4年の後期のみとなりました。残りの時間も私らしく、真面目に、そして悔いの残らないように学生生活を締めくくりたいです。

2025年8月15日金曜日

OUR SONG / Hiroshima World Peace Concert 2025

 80年前の8月6日、第二次世界大戦で広島に原爆が投下され、8月9日には長崎に原爆が落とされました。そして今日、8月15日は終戦記念日です。
この時期になると、平和記念式典や戦争関連の番組とともに、必ず思い出すアーティストがいます。原田真二さんです。 


 原田真二さんは広島県出身。高校在学中に吉田拓郎に認められ、1977年、18歳でレコードデビューしました。 甘いルックスに似合わず、ビートルズやエルトン・ジョンのエッセンスを詰め込んだ本格的なロックサウンド。デビュー後は、当時では考えられない毎月のシングルリリースや、同時に3曲がトップ10入りするという快挙を達成。ファーストアルバム『feel happy』はオリコン史上初の初登場1位を記録し、10代の男性シンガーソングライターによる1位獲得は、今も原田さんだけだと思います。(女性アーティストでは、宇多田ヒカルの『First Love』が記録を持っています。)

アルバム「feel happy」のジャケ写。ヒットはもちろん、全作詞・松本隆、全作曲・原田真二で名曲ぞろいのアルバム。


しかし、その輝かしい記録とは裏腹に、原田さんの活動は「デビュー時の成功」だけが語られることが多く、音楽人生の全貌が十分に知られていないのは残念です。
5枚目のシングル『サウザンド・ナイツ』までは松本隆作詞による国民的人気路線でしたが、6枚目『OUR SONG』からは作詞・作曲・プロデュースを一人で手掛け、アーティスト色を強めます。 この曲は、当時のタイアップや歌番組向けとは一線を画す哲学的な詩で、サビらしいサビもありません。広島出身としての誇りと、平和への強い思いが込められた一曲だと感じます。 (ちなみにデビュー曲『てぃーんずぶるーす』は、もともと原田さん自身が平和を訴える詞を書いていたそうですが、売れるために松本隆の詞に差し替えられたと言われています。) 

シングル「OUR SONG」のジャケ写。
僕が小さい頃はまるで映画の1シーンのようだな、と思っていたが、アイドル路線だった原田真二にとって、アーティスト一本でいこうと決断したジャケットなのだろう。


セールス面や国民的支持はその後落ち着いたものの、原田さんは40年以上にわたり、平和へのメッセージを音楽にのせ続けています。
デビューアルバムのタイトル『feel happy』に象徴されるように、活動の根底には常に「LOVE & PEACE, HAPPINESS」があります。2011年からは、ひろしま平和大使を委嘱され、活動されています。
僕の地元・岩手も2011年の東日本大震災で被害を受けましたが、小学生の頃、原田さんは何度もチャリティーで訪れてくれました。 そして今も、ウクライナ侵攻やパレスチナ問題など、世界の平和に関わる活動に精力的に取り組まれています。 

今年の 6月には函館でのコンサートに足を運びましたが、その内容の半分以上が平和への訴えでした。
印象的だったのは、ある音楽番組出演時のエピソード。観客向けの掲示メッセージに平和への思いを素直に書くと、言論統制が入ることがあるそうです。 だからこそ、今のように誰もがSNSで発信できる時代には、平和に関するメッセージをたくさん共有していくべきだと強く語られていました。 

6月、金森ホールでのコンサートフライヤー。ピアノ、ギターの弾き語りコンサートで、演奏1人とは思わせない重厚感のあるサウンドが、金森ホール独特の響きに包まれていました。



この終戦記念日に改めて聴いてほしい曲は、やはり『OUR SONG』。 19歳で作詞・作曲・アレンジ・プロデュースを一人でこなし、このクオリティを完成させたという事実は、もっと評価されるべきだと思います。 彼の音楽と信念を知るきっかけとしても、ぜひ耳を傾けてみてください。


最後に、今年行われた「広島ワールドピースコンサート」についての記事とアーカイブ動画へのリンクを共有します。 原田さんの音楽と平和への思いを、ぜひ体感してみてください。 

http://shinji-harada.com/2024/07/31/%E2%97%87hiroshma-worid-peace-concert/