2025年12月6日土曜日

結局、僕の耳は何歳なんだ問題

前回、「今年いちばんの発見はEPOだった」という記事を書きましたが、その後、Apple Musicをはじめ各サブスクで、今年一年の“音楽まとめ”が続々と出ていますね。

僕はSpotifyユーザーなので、毎年「まとめ」が出るのをかなり楽しみにしています。


再生時間やトップソング、よく聴いたアーティストが並ぶのは例年通りなのですが、今年は新しく「あなたのリスニング年齢」という項目が追加されていました。

結果はなんと──68歳





自分でも「同世代よりちょっと古めの音楽を聴きがちだろうな」とは思っていましたが、数字として突きつけられると、さすがに軽くショックです。

とはいえ、今の音楽をまったく聴いていないわけでもないはず…。


そこで今回は、2025年に出会った音楽の中から、特に印象に残った5曲をまとめてみることにしました。


①『Like This Before』/Roomies

2025年が始まって、最初に「これは…!」と引っかかったのがRoomiesでした。

きっかけは、ラジオ局J-WAVEの新譜レコメンド企画「SONAR TRAX」で流れていた、1月のピックアップ曲のひとつ。




英語詞で、ソウル寄りのダンスミュージック。最初は完全に海外バンドだと思って聴いていたのですが、調べてみるとまさかの日本のバンド。

マイケル・ジャクソンを思わせる伸びやかな歌声と、タイトなビートがとにかく気持ちいいです。


1月にリリースされたアルバム『ECHO』も、通して聴いてハズレなしの出来。

まずは『Like This Before』から入って、気に入ったらアルバムごと聴いてもらいたい一枚です。


②『SEASON』/BLACK BERRY TIMES

BLACK BERRY TIMESは、作詞・作曲を担う柳沢碧人(vo,key)と、編曲・ミックスを担う荻原蓮(g)という、現役大学生2人を中心にしたユニットです。


ふたりともジャズをはじめ、いろんな音楽にとても精通していて、ラジオのジャズコーナーをひと月任されていたこともあるほど。

そのおかげで、彼らの音楽だけでなく、ルーツとなる音楽にも触れられて、今年の僕のリスニングの幅をぐっと広げてくれた存在でした。


『SEASON』は、ストリングスアレンジにこだわって作られた1曲。



同じく彼らの『Sugar』『Why』はブラスアレンジがかっこよく、ソウルやファンクの要素が前面に出ています。



ミュージックビデオだけでなく、ショート動画でセッションの様子も見ることができるので、演奏している姿まで含めてチェックしてほしいアーティストです。

↓「BLACK BERRY TIMES」のinstagramサイト
https://www.instagram.com/blackberrytimes?igsh=Z3pxN3JlZjJ5ZWJ4


③『Silent Movie』/Strutman Lane

ここで洋楽枠。

ラジオか何かでたまたま耳にして、「この曲、いつごろの音源なんだろう?」と思って調べてみたら、シングルリリースは去年(アルバムは今年発売なのでギリギリ2025年ということで)だった、というのがこの『Silent Movie』でした。

ブラスロックバンド・Chicagoを思わせるサウンドもありつつ、00年代のポップスのような空気感もある。

親しみやすいメロディなのに、ファンクっぽいビートも効いていて、イントロのアコースティックギターも耳に残ります。


1曲の中で展開がどんどん変わっていくので、「ずっと同じフレーズが流れている」タイプの曲とは違い、ストーリーを追うような感覚で最後まで聴ける一曲。

日本ではまだそれほど名前が知られていないようで情報も多くありませんが、これからも追いかけていきたいバンドです。


④『さいなら』/眞名子新

今年の夏、キリン「氷結」のCMで耳にして覚えている人もいるかもしれません。

アーティスト名は「まなこ あらた」と読みます。

僕はCMより先に曲を聴いたのですが、ギターが前に出て一気に駆け抜けていく感じにやられて、一瞬でお気に入りになりました。

そのあとでCMタイアップが決まったと知って、「やっぱりこれは来るよな」と勝手にうれしくなったのを覚えています。


おそらく、これから毎年、夏の始まりに聴き返したくなるような一曲になると思っています。


⑤『鍋でもやろう』/ザ・おめでたズ、思い出野郎Aチーム

最後は先月リリースされたコラボ曲。

記念日や祝日をテーマに“日常を祝う”ラップグループ「ザ・おめでたズ」と、多摩美術大学で結成されたソウルバンド「思い出野郎Aチーム」によるシングルです。


「思い出野郎Aチーム」は、今年の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』で、小泉今日子さんと中井貴一さんが歌った『ダンスに間に合う』を手がけたバンドでもあるので、その曲で耳にした人も多いはず。




この『鍋でもやろう』がリリースされた11月7日は、「鍋の日」だそうです。

曲自体もまさに“鍋”のようで、「思い出野郎Aチーム」のソウルフルなグルーヴのうえに、「ザ・おめでたズ」の言葉が具材みたいに乗っかって、それぞれの個性がありつつもしっかり調和しています。

♪レコードとビールを持って~というフレーズが耳に残りますね。

聴いていると、友だちや家族と鍋を囲みたくなる、あたたかい一曲です。



結局、僕の耳は何歳なんだ問題

こうやって書き出してみると、「2025年に出会った曲」ではあるものの、そのルーツをたどるとジャズやソウル、AOR的な場所に落ち着いているものが多いな、と思います。

Spotifyに「リスニング年齢68歳」と判定されても、たしかにそれはそれで納得かもしれません。


いまはPC一台あれば、自宅で完結する打ち込みベースの音楽もたくさん作れる時代ですが、改めて並べてみると、人と人とが同じ空間で演奏している“セッション感のある音楽”にどうしても惹かれているようです。


だから最近の曲でも、アコースティックバージョンやDEMO音源、スタジオセッション映像が公開されていると、そっちのほうを何度もリピートしてしまう。

リスニング年齢がいくつと表示されようと、こういう「人が演奏している気配のする音楽」を追いかけていくのが、自分らしい聴き方なんだろうな、と改めて感じた一年でした。

千葉