こんにちは。毎晩寝る前に、熱中症で永眠する心配をしているおおいずみです。
本日の話題。
夏ですし、怖い話を一つ。
あれは6月末某日。
珍しく遅くまで研究室で一人作業をしていた私。
けっこう頑張ったな。もうこんな時間か。さあ帰ろうと戸締りをチェックして研究室の鍵を閉めます。
階段をゆっくりと降りて駐輪場へ。
自転車帰宅に最適な夏の夜の涼しい風が吹き抜けます。
そうです、暗い夜です、ライトをつけて帰らなくては。うっかり道路交通法に詳しいニンゲンに出会ってしまったら大変です。
別付の自転車のライトのスイッチをぽちり。
あれ、おかしいですね。ライトが点きません。
そのとき使っていたのは、なぜかよくライトを紛失してしまう私にとって、今年で3本目のお供でした。
しかし、無点灯で自転車に乗るわけにはいきません。
引いて、歩いて帰る? 夜道も怖いので、できれば乗ってしまってさっさと帰りたい。
ふと、電池の接触不良かと、思いつきます。
皆さんも一度はしたことがあるのではないでしょうか。
電池を一回出して、順番を変えて入れると残りの力をひり出してくれるやつ。
それをやろうと思いました。
家に帰るまでの少しの時間、保ってくれればいいのです。
蓋を開け、電池を指でつまみ出した、そのときでした。
トロリ、という感触。
闇の中、何やらヌルヌルとしたものが指にまとわりついてきたのです
?
ああ
これは
液漏れだな
!?!??!?!?!?!?!?
気付いた瞬間、私は自転車とライトを道端に放り出し、大学構内へと道を引き返します。
一刻も早くおててを洗わなければいけません。
走りながら考えます。わたしが触ってしまったのは、アルカリ乾電池でしょうか、マンガン乾電池でしょうか。
私は知っています。アルカリも、液漏れした電池も、とても危ないのです。
かつて聞いた本学のN村先生の声が蘇ります。
「アルカリの腐食性を、ナメるな」。
N村先生は、なんて大切な言葉を私にくれたのでしょう。
そう、N村先生は単位の代わりに、もっと大切な教えを私にくださったのです。
今なら先生、私わかります。
アルカリは、軽んじたら、痛い目見る。物理的に。
注意書きはちゃんと守れ。事故の元。
行く途中、ライトが落ちた先の草むらのことが気にかかりましたが、すぐに頭から振り払います。
乾電池から漏れたなにがしかの液体のせいで、私が濡れた乾電池を投げたせいで、駐輪場の草むらがちょっとハゲようとも爆発しようとも(しません)仕方のないことです。
むしろ駐輪場なんだから自転車が停めやすくなっていいじゃないか。
今一番大切なのは、本学の明らかに敷地の足りていない駐輪場ではなく!
私の指紋!指!まいふぃんがー!!!
走る先は女子トイレ。
入ってすぐに、多量の水を手にびしゃびしゃとかけます。
化学実験の単位を履修したあの日々の中で、尋常じゃない量のSDSを読んで学びました。
例外はあれど、たいてい、誤って触れてしまったときは多量の水で洗い流す、です。
何分くらいそうしていたでしょうか。
ヌルヌルの残響を滅して息をついた私は我に返り家路を急ぎます。
心なしか指先がヒリヒリするような、水ぶくれができそうな、そんな不安を抱えながら。
後日、アルカリ乾電池の液を浴びたらしい私の指先は特に大きな変化を見せず、とりあえずは一安心。
それから手袋とマスクをして再び駐輪場を訪れると、草むらが剥げていることもなく、他の学部生が怪訝な顔で通り過ぎていくのを横目に、まるで新種の生物を見つけた学者のような顔で、ダイソーのライトを回収し、廃棄しました。
皆様も電池には、お気をつけて……。
実はこの話には続きがあります。
そんなこんなで、今年3回目のライトを失った私、一緒にご飯に行こうというメンバーに、「ごめん、ライト無いから自転車引いていく」と伝えます。
ふーん、といったぶんどうの自転車についていたのは、あの、ダイソーのライト……!
そうなんだ、といったゆいちゃんの自転車にも、あの、ダイソーのライトが……!
どうして私のライトだけが、こんなに頻繁に壊れ、代替わりするのでしょうか。
呪われているのは、ライトか、それとも、私のほうなのか……。